じゃがいもヨーグルト

2016年夫がドイツの会社に転職。2019年転勤のためカナダへ引っ越しました。ほぼ月一更新。

トロントとベルリンを比較したエンジニアの転職やスタートアップ事情について

オンタリオ州の新規感染者数が100人台の日々が続き、4ヶ月に及ぶ非常事態宣言は今月下旬にひっそりと解除されました。トロント市内の新規感染者もとうとう10人を切り、8月からはレストランやカフェの店内飲食も許可されるようです。

さて話は変わりますが、プログラマーの夫が、トロントとベルリンを比べての感想やトロント在住の日本人エンジニアの方々から伺った話を教えてくれ、おもしろかったので、調べたことと併せて覚書きを残しておきます。

 

 

 

それぞれの滞在時期と邦人数

ベルリンには2016年3月から2019年9月まで住んでいました。人口は約380万人。日本人は3500人前後住んでいます

トロントには2019年9月に引っ越してきました。人口は約300万人、日本人は約13,000人住んでいて、人口に占める単純な比率で言うとベルリンの約5倍。

 

 

ベルリンはどうだったか

1 スタートアップの求人が多い

ベルリンでは毎年500以上のスタートアップが新しく登記されるそうです。

スタートアップの求人だけを集めたサイトあり、常時数百件の求人が掲載されています。特にエンジニアは売り手市場で、周りでも転職に困っている話は聞きませんでした。

夫の勤務先もスタートアップで顧客は北米中心でしたが、社長曰く、北米で創業するよりもオフィスの賃料や人件費などのコストが低く抑えられる、という理由でベルリンを選んだそうです。

ちなみに、ドイツは就労ビザが取りやすく、会社の負担も少ないので、ビザサポートという点での採用側のハードルは低いようです。

 

2 エントリーレベルでも仕事が見つかる

あくまで夫個人の印象ですが、ベルリンのスタートアップはその分野の専門家ではない人が創業するケースが多く、人材にも専門性や経験がそれほど求められないのではないか、とのこと。

夫もベルリン移住前のエンジニア経験年数は浅かったのですが、仕事はわりとあっさり見つかりました。周りでも、経歴の浅い人やプログラミングを学んだばかりの未経験者も、なんだかんだ職を見つけていました。

 

3 日本人エンジニアが多い

googleで「ベルリン エンジニア」と検索すれば、日本人エンジニアのブログがいくつも出てきます。住んでいた間、積極的に探していたわけではありませんが、多くの日本人エンジニアに出会いました。

 

 

一方、トロントは

1 スタートアップの(敷居の低い、オープンな)求人が少ない

2017年の時点で、トロント-ウォータールー地域で2100〜2700のスタートアップが稼働していたと推定されているそうです。

ただ、こちらの記事によると、トロント-ウォータールー地域のスタートアップはFinTech、AI、製造、ロボット工学、生命科学、健康の分野が強いそう。おそらく人材も専門性が高い人が求められると考えられます。

上記の特定の分野に強いエンジニアであれば歓迎されるかもしれませんが、カナダは就労ビザのサポートに関して会社側の負担も大きいため、体力のないスタートアップだとビザサポートが必要な人の採用を躊躇するかも。

 

2 エントリーレベルの求人が少ない

カナダで使える求人サイトではHiredが夫の一押しなのですが、トロントのエンジニア求人は経験者の募集ばかりだそうです。また、大企業のトロント支社にはエンジニア部門自体ないこともしばしば。

大企業で高い専門性が求められない求人もあると思いますが、大企業はカナダ人からの応募も多いはずで、専門性が低いポジションでわざわざビザのサポートが必要な移民を採用するメリットは少ないのではと考えます。

 

3 日本人エンジニアが少ない

最近夫はネットやSNSで今トロントで働いている日本人エンジニアを探して、積極的に連絡しています。

発信活動をしている方が少ないだけかもしれませんが、今のところブログは2人、SNSも片手で数えられるくらいしか見つけられていません。何人かお話を伺ったところ、全員が「トロントに日本人エンジニアの知り合いはいない」とおっしゃっていたそうです。

 

ある程度経歴があればトロントでも大企業には就職できるだろうに、なぜ日本人エンジニアが来ないのかと夫に聞いてみました。

夫個人の意見としては、わざわざ海外で挑戦したいようなエンジニアにとって、歴史が長い大企業は組織が硬直化しがちで変化に乏しく面白みが少ない、とのこと。

また、カナダの大企業のほとんどがカナダ国内だけか北米のみの展開なので、それ以外の地域の人にとっては知名度が低いそうです。

上記2点から、すでにキャリアを積んできた人がトロントに来る動機が持てないのではないか、とのことでした。

 

ちなみに、カナダで日本人エンジニアが多いのはバンクーバーだそう。

 

 

ベルリンと比べてトロントの就活は大変

複数の方から話を聞く限り、移民に限らずカナダ人でも、トロントでのエンジニアの就活は職務経歴がないとずいぶん苦労するようです。夫も、4年前にベルリンではなくトロントに来ていたら就職は難しかったと思う、と言っていました。

トロントが好きで、どうしてもトロントに住みたいというエンジニアは、いったんバンクーバーやベルリンなど別の都市で経験を積んでから引っ越して来た方がいいかもしれません。