硬水でもタオルをふかふかに洗いたい
ベルリンの水道水は硬度が高い。そのせいで水まわりはカルキですぐ白くなるし、髪はパサパサ肌はカサカサ、タオルもバリバリ。あと、白い物は洗うとくすんでグレー?水色?っぽくなる。
日本から持って来たふかふかの今治タオルもすっかりゴワゴワ、体を拭くと痛いくらい。あーあの風呂上がりにふかふかのタオルに顔をうずめる幸せを味わいたい!
そんなわけでいろいろ調べてみたのですが、イオンやら化学式やらなんやら難しい。私がなんとなく理解した範囲で書いていきますので、まちがってたらスイマセン。
長いので、やり方だけ知りたい方は「硬水でもタオルをふかふかに洗う方法」のところを読んでください。
そもそもなぜ硬水でタオルがゴワゴワになってしまうのか
硬水とは、「カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水」のこと。
石けんは金属イオンと結合して、水に溶けず、洗浄力のない金属石けん(石けんカス)になってしまう。そうすると洗剤の洗浄力も落ちる。石けんカスやカルキが、長い毛足にくっついてタオルをゴワゴワにしてしまう。ついでに白い物がグレーになるのもカルキの色らしい。
つまり、洗濯する水の金属イオンを減らして軟水にして、タオルについたカルキも取れば、ゴワゴワになりにくいということ。
硬水の種類と軟水にする方法
ところで、硬水は一時硬水と永久硬水に分けられる。水の中にカルシウムとマグネシウムがどのような状態で含まれているかが違い、それぞれ軟水にする方法も違う。両方が混ざっている場合もある。
- 一時硬水:カルシウムとマグネシウムが炭酸水素塩の形で多く含まれる水。煮沸すると、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム(沈殿)+二酸化炭素+水に変化し、簡単に軟水になるので「一時」というらしい。煮沸してカルシウムが消えて無くなるわけではないが、炭酸カルシウムが析出すると硬度成分であるカルシウムイオンは減るので、水の硬度が下がるということ。マグネシウムも同様。
とにかく沸かせば軟水になるタイプ!
- 永久硬水:カルシウムとマグネシウムが硫酸塩や塩化物の形で多く含まれる水。煮沸では取り除けないので「永久」というらしい。ただし、軟水化する方法はいくつかあり、その一つが炭酸ナトリウムを加えること。例えば硫酸カルシウムは炭酸ナトリウムを加えると、炭酸カルシウム(沈殿)+硫酸ナトリウムに変化する。この硫酸ナトリウムは洗剤の働きを助けるらしい(詳しく知りたい方はリンク先ページの「ミセル増強剤」の項目を参照ください)。
とにかく炭酸ナトリウムを加えればオッケー!
炭酸ナトリウムは炭酸ソーダ、ドイツ語だとSoda(Reine SodaとかWasch Sodaとか)でドラッグストアの掃除用品のコーナーで売ってます。
こんな感じの。
ベルリンの水の硬度は?
ベルリンは地域によって多少硬度の差はあれど、どこも超硬水。ここのページで郵便番号を入力すると、住んでいる場所の水道水の成分が詳しく見られる。
ちなみに、総硬度(Gesamt-härte)=一時硬水の硬度(Karbonat-härte)+永久硬水の硬度。永久硬度は差し引きで求められる。ただし、硬度の単位はドイツ(°dH)と日本(mg/L)で違い、ドイツの硬度の数値を約17.8倍すると日本の単位と揃うとのこと(詳しくはこちらの日本との水の違い - ドイツの硬水 - を参照)。
日本では硬度60mg/Lを超えると中硬水、120mg/Lを超えると硬水、180mg/Lを超えると超硬水に分類される。
で、うちの水道水はだいたい総硬度260mg/L(超硬水)=一時硬度185mg/L+永久硬度75mg/L。一時硬度も永久硬度も高いので、軟水化も両方の対策をしないといけない。
硬水でもタオルをふかふかに洗う方法
というわけで、調べた限りの範囲で作成した、タオルふかふか計画。
- しっかり沸騰させた後冷ましたぬるま湯をバケツに入れ、炭酸ソーダを溶かし、しばらくタオルを浸ける。
- 濡れたタオルを洗濯機に入れ、バケツの水もできるだけ洗濯機に注ぐ。もしくは1をスキップして洗濯機に乾いたタオルとカルゴンを入れる(後述)。
- 洗濯機を綿(Baumwolle)コースに設定。洗う水の温度は一番高い温度(90度)。水の硬度に合わせた量の洗剤(+酸素系漂白剤)を投入。柔軟剤の投入口に柔軟剤+クエン酸を入れる。
- 洗濯機を回す。ドイツの洗濯機は1時間半くらいかかる。脱水でパイルが寝てしまうので、脱水の回転数を下げる。
- 干す前にタオルの縁を持ってふりさばく。タオルをまわして持つ辺を変えつつ、バッサバッサふる。各辺10回×4辺=40回くらい。
1で、まず水を沸騰させて一時硬度を下げる。
次に炭酸ソーダで永久硬度を下げる。そっこー反応するものじゃないらしい。石けん成分と金属イオンが反応する前に軟水化しておかないといけないので、洗剤より前に入れないとダメ。
2で、びしょびしょのタオルを洗濯機につっこむ。せっかく手間ヒマかけて軟水化したバケツの水も全部使いたい。でもドイツの洗濯機は風呂場の水を吸い上げて使うとかそういう機能がない。しかもドラム式。バケツを傾けて洗濯物入れる横向きのところからそろりそろり注ぐ。
洗濯機の周りもびしょびしょになるし、大変だったなぁと思い出しながら記事を書いていたら、本当に今さらだけど、カルゴン(Calgon)っていう水を軟水にする製品を見つけた。ゼオライトっていう成分が金属イオンと結合して硬度を下げるらしい。界面活性剤も入ってて、洗剤と同じタイミングで投入しても石けんカスできる前にいい感じに軟水化してくれるらしい。めっちゃいいじゃん!
これドラッグストアで見たことあるわ。。
3は、洗濯水に高温の水を使うことで一時硬度を下げる。ただし、たぶんタオル自体は少し傷むと思う。
ドイツの洗剤や柔軟剤はボトルの裏に、水の硬度に合わせて異なる使用量が書いてある。硬度が高いほど効果が薄れるため、使用量は多くなる。
うちはタオルが全部白いので酸素系漂白剤も入れている。はじめの頃入れずに洗っていたら色がくすんだが、元に戻った。ちなみに白物を色物と洗ってしまうと一発で色移りする。
すすぎにクエン酸を入れるのは、タオルの毛足にからんでゴワゴワとくすみの原因になるカルキの粒(結晶化した炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム)を除去するため。ちなみに、炭酸カルシウムにクエン酸を加えると、酢酸カルシウム(水に溶けやすい)+二酸化炭素+水に変化する。
柔軟剤は中性なので、クエン酸混ぜても大丈夫だと思う。クエンの代わりにお酢でもオッケー。
クエン酸はドイツ語でZitronensäure。ドラッグストアに行くと粉タイプと液体タイプが売っている。
こんなの。
ちなみに、洗剤とクエン酸を混ぜると酸性石けんという物質ができてしまうそうで、洗濯物がべたべたした感じになって洗い直し。クエン酸はすすぎで使おう。
4は、ドイツの激しく叩きつけて洗うドラム洗濯機の洗礼によってすっかりペッチャンコになったパイルを起こすため。これをやると仕上がりがまったく違う!
試してみた結果
確実に前よりふわふわになりました。日本で洗ってたときほどのふわふわ感はありませんが、乾いた後、たたんだときのタオルの厚みが全然違います。風呂上がりのバスタオルの感触もだいぶ気持ちいいです。
ただし、新品の状態以上にはならないので、もともとふわふわしているタオルが必要です。
次はカルゴン買って試してみよう。
追記
上記の面倒な方法はまったくやらなくなって、最近は下記の方法でやっていますが、まぁ何もしないよりはふかふかな気もしますし、もう硬いタオルに慣れちゃってよくわからないです。
1. 洗剤+酸素系漂白剤で洗う
2. 柔軟剤を入れる
3. 脱水の回転数を400(うちの洗濯機の下限)に減らす
4. 干すときにめっちゃふりさばく